このたび文部科学省において、平成19年度の科学技術振興調整費の選定が行われ、奈良県からは奈良工業高等専門学校が提案していた地域再生人材創出拠点の形成事業「元気なら組み込みシステム技術者の養成」が唯一採択されました。
本事業は「GENET(GEnki Nara Embedded systems Technology)」という愛称で、平成19年度から平成23年度の5年間、奈良高専のある地元奈良県を中心に中小企業を数多く抱える周辺の東大阪市、八尾市、京都府南部までを対象にして組み込みシステム技術者の育成を図るものです。
組み込みシステムとは、ある特定の要望(ニーズ)に対して専用に設計され、組み込まれた小型のコンピュータシステムのことです。機器に組み込まれたコン ピュータは直接目にすることはまれですが、現在の社会を支える重要な基盤技術となっています。組み込みシステムは自動車、携帯電話、デジカメから工場の自 動生産システム、そして家電製品にいたるまでありとあらゆる工業製品に使われており、各種機器の高性能化、高機能化、知能化を実現するものであり、組み込 みシステムを的確に導入することは、企業において競争力のある高付加価値製品を生み出すためのキーとなります。
本事業は、初年度より年1コースの割合で順次組み込み技術講座を立ち上げ、3年後には組み込み技術の基礎から応用までを幅広くカバーする3コースからなる 養成システムを構築するものです。カリキュラムは奈良高専で蓄積された教育・研究のノウハウに基づき、実験実習を重視した実践的な構成を目指しています。 さらに、本事業では講座と連携した組み込みシステムの開発支援や技術相談等に関するサポート体制についても整備し、奈良県を中心に東大阪市、八尾市及び京 都府南部地域の有機的な養成拠点を目指します。
また、本事業の連携自治体である奈良県では 「なら産業活性化ビジョン」が平成17年3月に策定され、「人材の育成・確保」を重点戦略に位置づけており、このたび採択された事業を展開することによ り、組み込み技術者の養成を通じた人材の育成・確保と関連産業の底上げ、発展を期待しています。
総合科学技術会議の方針に沿って科学技術の振興に必要な重要事項の総合推進調整を行うための経費であり、以下の施策であって、各府省の施策の先鞭となるもの、各府省毎の施策では対応できていない境界的なもの、複数機関の協力により相乗効果が期待されるもの、機動的に取り組むべきもの等で、政府誘導効果が高いものに活用されるものである。
大学等が有する個性・特色を活かし、将来的な地域産業の活性化や地域の社会ニーズの解決に向け、地元で活躍し、地域の活性化に貢献し得る人材の育成を行うため、地域の大学等(又は地域の大学等のネットワーク)が地元の自治体との連携により、科学技術を活用して地域に貢献する優秀な人材を輩出する「地域の知の拠点」を形成し、地方分散型の多様な人材を創出するシステムを構築する。